いやなんつうか、
「あれは、共同体において、なんら重要性をもたないひとり者で、漸く個人といえるぐらいだ」
というあれだ。そういう香具師が増えて、人間の醜さ、卑劣さとかをことさらに描くようになると。
なんつうかありきたりの、古典的な、保守的な普通の幸せというものをもう一回描いていこうよ、と真紀子はいいたいんじゃないのかな。